韓国領内に「中国軍基地」が出現する日…

東/南シナ海の安全保障について8日、米国のチャック・ヘーゲル米国防長官(67)と中国の常万全国防相(65)が激しく応酬した。常氏は安倍晋三政権を名指しし「歴史を逆行させ、地域の平和と安定に脅威を与えた。米国は日本を放任すべきでない」と、自らの行状を棚に上げて言ったが、趣味の悪い冗談にしか聞こえなかった。ただ「米国は日本を放任すべきでない」の件には、いささか緊張した。韓国は、歴史や領域問題で反日共闘を組む中国側のこの発言に共鳴したに違いない。結果、韓国が安全保障問題解決に向け、米中間の“架け橋”を装いながら、中国と反日共闘強化を謀ると厄介だ。(SANKEI EXPRESS)

 米国内の親中・親韓ロビー活動が一層勢いづくだけではない。自国の実力を誤認する韓国が、米中間で《バランサー》を気取ると結局、中国にのみ込まれ、安全保障上の均衡を崩してしまう。韓国の国力・国際的地位に鑑みれば《バッファーゾーン=緩衝地帯》が相応で、北朝鮮をにらんだ抑止力に特化し、身に余る言行は慎むべきかと。それが東アジアの危機回避につながる。


完成迫る済州島基地


 バランサーといえば聞こえが良いが、胸中不満を秘めつつも、米中両大国にすり寄り、目先の利益追求だけに狂奔する《事大主義》に他ならない。中国には経済、米国には安全保障+経済と、それぞれ《三跪九叩頭(さんききゅうこうとう)の礼》をする分野を間違えなければ、まだしも「不安定な安定」は保たれる。しかし、置かれている安全保障環境を錯誤する彼の国の場合、跪き、頭を叩き付ける対象をはき違える愚を伴いかねない。


経済の著しい鈍化にもかかわらず中国が軍事膨張を一定程度向上させ続ける一方、既に進行中の在韓米軍の密かな撤退など朝鮮半島離れと国防費削減が今以上に顕著になるのならば、国家経営を破綻させる歴史がまたも繰り返される可能性がある。中国には経済ではなく安全保障、米国には安全保障ではなく経済面で、主におもねる半ば倒錯した“戦略”も有り得る。例えば、完成が迫る済州島海軍基地に中国海軍艦艇の寄港を認める、日米にとっての悪夢…。

 済州島の韓国海軍基地は中国本土よりわずか480キロ。九州からはさらに近い。海域は、中国に海路運び込まれるエネルギーの8割が通る海上交通路に当たる。米国は有事の際、この航路を扼す要衝の島に基地を造営する韓国の計画を、強く支持したといわれる。

 「最前線の米海軍基地」が「最前線の中国海軍基地」と化す戦略レベルの拙攻を促すのだが、韓国による日米の国益侵害は既に始まっている。2013年12月の韓国国会本会議において、わが国の集団的自衛権行使容認に向けた議論に対する《深刻な懸念表明》と《軍国主義化などの動きの即時中断を要求する》方針が決議された。


見境なき反日


 日韓軍事筋によれば「日本の集団的自衛権推進を支持する米国やASEAN(東南アジア諸国連合)加盟国を意識し、条文の文言を薄めた」というが、愚かな決議に変わりはない。ウクライナ情勢やイランの核開発、シリア内戦やパレスチナ和平など、米国は東アジア以外の安全保障問題に忙殺される。国防費も減り続け、安全保障上の「アジア重視」を公言したものの、どこまで実行できるか米国自身にも分からない。斯くなる状況下では、アジアにおける最強の同盟国・日本の極めて積極的な対米軍事支援=集団的自衛権行使が不可欠となる。ヘーゲル長官が日本の集団的自衛権への取り組みを、2013年10月の外務・防衛閣僚による日米安全保障協議委員会(2+2)に比べ踏み込み「歓迎し、努力を奨励し支持する」と明言したのは、こうした内実にも因る。

 大半のASEAN諸国も濃淡はあるものの、対中脅威の度を強める。ベトナム戦争(1960~75年)で、韓国軍におびただしい数の民間人を虐殺され、多くのライダイハン(韓国軍人との混血児)も抱えるベトナムは、主張する領域を中国に侵され続けているだけに、韓国の今決議をどう感じたか興味深い。

 そもそも、安倍政権が急ぐ集団的自衛権容認は中国/北朝鮮軍に対する抑止力担保。同時に、半島有事で日本に集積する米国を筆頭とする多国籍軍の海陸軍・海兵・航空戦力投射を、より容易・迅速にする最も軍事的合理性に富む手段で、韓国の国運を決める最大要素を成す。


韓国の見境なき反日は、米中と誼を通じておけば「日本の安全を脅かしても、韓国の安全も経済も安泰」との事大主義の成れの果て。韓国の日本への「甘え」と、それを許す日本の「甘さ」が創る相乗効果が生み落とした「化け物」ではないか。


「臆病は残虐性の母」


 ところで、日本の集団的自衛権行使は半島有事で多国籍軍の戦力投射ばかりか、自衛隊が外国軍と実施する自国民保護→輸送にも資する。だが、任務には多くの困難が伴う。その一つが韓国軍の緒戦潰走。大混乱と劣勢の中での任務遂行を覚悟せねばならない。高麗や李朝時代に遡らずとも、潰走・逃亡は朝鮮半島文化であり続ける。

 朝鮮戦争(1950~53年休戦)では、軍紀弛緩もあり北朝鮮軍の奇襲を許した。初代大統領・李承晩(1875~1965年)はじめ韓国政府高官は逃げるため、漢江に架かる橋の爆破を命じた。橋上には避難民が大勢いて、500~800人が犠牲になった。対岸では、韓国軍主力の数師団が戦ってもいた。退路遮断を知った部隊も雪崩を打って戦線を放棄した。遺棄された大量の装甲車、火砲や弾薬を中国・北朝鮮両軍は接収し、継戦能力を高めた。


北朝鮮の“英雄”のはずの後の国家主席・金日成(1912~94年)も米軍の猛反撃後、中国軍の将軍に指揮・統率を丸投げして中国領に逃亡。将軍にビンタを張られたとの説も残る。


 無慈悲はベトナムでの蛮行や漢江大橋爆破だけではない。朝鮮戦争では、恐怖におののく韓国軍も、狂気に走る北朝鮮軍も、ウン十万とも百数十万とも観測される無辜の民を殺した。フランスの哲学者ミシェルド・モンテーニュ(1533~92年)曰く-

 「臆病は残虐性の母である」

 自衛隊は韓国軍の文化を能く研究し、将来の集団的自衛権行使に備えねばならない。大儀な任務と思う。(政治部専門委員 野口裕之)


2014.4.14

http://sankei.jp.msn.com/world/news/140414/kor14041408300001-n1.htm






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