実は巧みな「安倍談話」。しかし懸念も




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       ロシア政治経済ジャーナル No.1246


                         2015/8/17


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今回は、「安倍談話をどう評価するか?」についてです。

詳細は、【本文】で!↓



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★実は巧みな「安倍談話」。しかし懸念も


全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!

8月14日、安倍談話が出ました。

国内外からいろいろ論評が出ていますが、どうなのでしょうか?

談話の「良し悪し」は、「結果」で見るべきでしょう。

日本国にとって「良い結果」になれば、「良い談話」である。

日本国にとって「悪い結果」になれば、「悪い談話」である。



▼日本をとりまく情勢



「良い結果なのか、悪い結果なのか?」を知るためには、世
界の現状、世界の中の日本の現状を知っておく必要がありま
す。

毎度書いていることなので、簡単に触れましょう。


・08年、アメリカ発「100年に1度の大不況」が起こる。

世界的に、「アメリカ一極世界は崩壊した」といわれた。


・09年、世界が沈む中、中国は9%強の成長をはたし「一人勝ち」
に。

「G2」(=米中)という言葉がはやる。

・10年、「尖閣中国漁船衝突事件」が起こる。

「アメリカは弱体化し、日本を守れない」と予想した中国は、
全世界で、「尖閣は中国固有の領土であり、わが国の『核心
的利益』である!」と宣言した。

・11年、「東日本大震災」で、休戦。

・12年9月、日本政府、尖閣を国有化。

中国で大規模な反日デモが起こる。

日中関係は、戦後最悪に。

・12年11月、中国はモスクワで今後の「対日戦略」を発表。

その骨子は、

1、中国、韓国、ロシアで、「反日統一共同戦線」をつくる

2、日本に、「北方4島」「竹島」「尖閣、【沖縄】」の領有
権を断念させる。

「日本に、【沖縄の領有権】はない」

3、【アメリカ】を「反日統一共同戦線」にひきいれる

「トンデモ、トンデモ、トンデモ~~~~!!!」

と思われた方は、いますぐこの【証拠】をチェックしてください。

http://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/2012_11_15/94728921/

こうして、全世界で大々的な「反日プロパガンダ」が始まりました。

・安倍は右翼だ!
・安倍は軍国主義者だ!
・安倍は、歴史修正主義者だ!

目的は、「日本とアメリカを分裂させ、アメリカを『反日統一共同
戦線」に引き入れる」こと。

・2013年12月26日、安倍総理、靖国を参拝。

中韓だけでなく、アメリカ、イギリス、EU、ロシア、オーストラリ
ア、台湾、シンガポールなどが、これを厳しく批判。

安倍総理、世界的に孤立する。

中国、韓国のプロパガンダは浸透し、「反日統一共同戦線戦略」は
成功しつつあった。

しかし・・・。

・2014年3月、ロシアによる「クリミア併合」。

アメリカは、「対ロシア制裁」のために、日本と和解する。

・2015年3月、「AIIB事件」。

イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、イスラエル、オーストラ
リア、韓国などが、アメリカの制止を無視し、「AIIB」への参加を
決定。

親米国家群が「アメリカを無視し、中国側についた」ことで、アメ
リカ政府は衝撃を受ける。

日本は、大国で唯一「AIIB」への参加を見送り、日米関係が改善さ
れた。

・2015年4月29日

安倍総理による米議会「希望の同盟」演説。

この演説の後オバマは、「日米関係がこれほど強固だったことは
かつてない!」と断言した。

いったんここで終えておきます。

こう見ると、世界で何が起こっているかはっきりわかります。

・中国は、尖閣・沖縄を奪取するために、「日米分断工作」を行
っている

(日米を分断すれば、中国がアメリカにとってかわることも可能
になる。)

・日本は、中国の戦略に対抗し「日米一体化」をしている。

(たとえば、集団自衛権行使容認、安保関連法案なども、その一
環。)

日本はこういう厳しい現状にあることを、いつも覚えておきまし
ょう。



▼安倍談話を評価する主体



「安倍談話がよかったか、悪かったか?」

これ、総理の自己満足じゃダメですよね。

結局、談話の「良し悪し」は、「まわりの人」が判断するのです。

で、「まわりの人」(あるいは国)の中でも、やはり「主な主体」
がいるわけです。

国でいえば、

・中国
・韓国
・アメリカ

日本国内の勢力でいえば

・保守(安倍総理の支持基盤)
・反安倍勢力

もう一度。

・中国
・韓国
・アメリカ
・保守(安倍総理の支持基盤)
・反安倍勢力

と、だいたいこんな感じだと思うのですが。

この中に、総理が談話を出すにあたって、

「あまり気にしなくていい勢力」

もいるのですね。

それは、

・中国
・韓国
・反安倍勢力

です。

「え~~~、中国、韓国に気に入ってもらえる談話を出すことが、
一番大事なのでは????」

そう考える人がいるのはわかります。

しかし、そんなことは「無理な相談」なのです。

これらの国々や勢力は、「どんな談話が出ても必ず批判する」から。

反安倍の野党について、説明はいらないでしょう。

たとえば中国、韓国は、「村山談話はよかった」などといいます。

その一方で、世界にむかって、「日本は一度も謝罪したことがな
い!」と宣言している。

「あれ?村山さんが謝罪したこと認めてるのに・・」ですよね?

でも、プロパガンダなので、「村山さんが謝罪した」とか、どっ
ちでもいい。

世界にむけては、「日本は一度も謝罪してない」というのです。

だから、談話を出すにあたって、中韓、反安倍勢力のリアクショ
ンなんて気にしていられない。

謝罪しなければ、「謝罪しろ!」と批判され。

謝罪したら、「謝罪が足りない!」と批判され。

何回謝罪しても、「日本は一度も謝罪してない」といわれるのです
から。

結局大事なのは、

・保守の反応(安倍総理の支持基盤)

・アメリカの反応

だけ。

なぜ保守の反応が大事かというと、もちろん安倍総理の支持基盤
だからです。

なぜアメリカの反応が大事かというと、尖閣・沖縄を狙う中国に
対抗するために、アメリカの助けが必要だからです。

しかし、困ったことに、日本の保守とアメリカの歴史観は、

「正反対」である。

どう正反対?

保守の歴史観は、「日本は善」「アメリカは悪」。

アメリカの歴史観は、「アメリカは善」「日本は悪」。

安倍総理は、この「正反対の歴史観をもつ二つの勢力を同時に
満足させる」という、難題をかかえていた。

(だから、「談話なんきゃ出さなければいい」と多くの人が
主張していました。

私もそう書いていました。

正直出さなくても何の問題もなかったのです。)

で、結果はどうだったのか?



▼安倍総理、「保守」を喜ばせる


談話の中に、保守が喜びそうな部分がいくつかありました。

<日露戦争は、植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリ
カの人々を勇気づけました。>

<事変、侵略、戦争。

いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、
もう二度と用いてはならない。


植民地支配から永遠に訣別し、すべての民族の自決の権利が尊重
される世界にしなければならない。>


ここに「侵略」という言葉が出てきます。

しかし、「日本が侵略した」とはいってません。



<我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反
省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました。>


「お詫びの気持ちを表明してきました」と事実を述べています。

しかし、「安倍談話」の中に、直接的お詫びの言葉はありません。



<日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えていま
す。

あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の
世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。>


戦後生まれた人たちに「謝罪しつづける宿命を背負わせない」そう
です。

これだけいえば、安倍総理の支持基盤である「保守」の皆さんも満
足したのではないでしょうか?



▼安倍総理、アメリカを喜ばせる



次に、保守とは正反対の歴史観をもつアメリカです。

談話の中には、アメリカを喜ばし、なおかつ中国を暗にけん制する
部分がありました。



<私たちは、自らの行き詰まりを力によって打開しようとした過去
を、この胸に刻み続けます。

だからこそ、我が国は、いかなる紛争も、法の支配を尊重し、力の
行使ではなく、平和的・外交的に解決すべきである。

この原則を、これからも堅く守り、世界の国々にも働きかけてまい
ります。>

<私たちは、国際秩序への挑戦者となってしまった過去を、この胸
に刻み続けます。

だからこそ、我が国は、自由、民主主義、人権といった基本的価値
を揺るぎないものとして堅持し、その価値を共有する国々と手を携
えて、「積極的平和主義」の旗を高く掲げ、世界の平和と繁栄にこ
れまで以上に貢献してまいります。>



これは、もっとも印象に残る「最後の部分」です。

現実はどうであれ、自由、民主主義、人権など声高に主張している
のは、どの国でしょう?

そう、アメリカです。

一方、「自由がない」「民主主義ではない共産党の一党独裁」「人
権が全然ない」のは、どの国でしょう?

そう、中国です。



<その価値を共有する国々と手を携えて、「積極的平和主義」の旗
を高く掲げ、世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献してまいりま
す。>


「価値を共有する国々」とは、アメリカ、欧州、オーストラリアな
どのことでしょう。

「積極的平和主義」とは、自国のみならず、世界の平和と安全に貢
献していくということです。

つまり、ここで安倍総理は、「アメリカ側につきますよ。中国とは
違いますよ」といってるわけです。

安倍談話について、アメリカのメディアでも、いろいろ批判がある
そうです。

理由は、「謝罪がない」「侵略したことをはっきり認めてない」と。

しかし、アメリカ政府の反応は、こうです。




<「日本はすべての国の模範」、米が戦後70年談話歓迎

ロイター 8月15日(土)2時34分配信
*
*
[ワシントン 14日 ロイター] -

安倍晋三首相が発表した戦後70年談話について、米国家安全保
障会議(NSC)は14日、歓迎する意向を表明した。

ネッド・プライス報道官は「戦後70年間、日本は平和や民主主義、
法の支配に対する揺るぎない献身を行動で示しており、すべての国
の模範だ」とした上で、世界の平和と繁栄への貢献を首相が約束し
たことを評価。

「安倍首相が、大戦中に日本が引き起こした苦しみに対して痛惜の
念を示したことや、歴代内閣の立場を踏襲したことを歓迎する」と
述べた。>



「すべての国の規範」だそうです。

というわけで、「安倍談話」は、「日本の保守」と「アメリカ」、

正反対の歴史観をもつ二つの勢力を「両方満足」させることに成功
したのです。

「安倍談話の結果」は何でしょうか?

・安倍総理の支持基盤である「保守」は満足した。

・日本の軍事同盟国であるアメリカは満足し、中国の戦略は挫折
した。

というわけで、「成功」といってよいようです。

だからといって、日本は一刻も油断できません。

安倍総理は、「話し上手だが、行動が信用できない」と思われ
ているからです。



▼「希望の同盟」演説後の大失敗



4月29日、「希望の同盟」演説で、オバマは元気を取り戻しまし
た。

AIIB事件で(日本以外の)すべての同盟国に裏切られたオバマ
は沈んでいたのです。

「GDP世界3位の日本は、俺の味方だ!」と。

それで、2013年からはじまっていた中国による「南シナ海
埋め立て問題」を突如バッシングしはじめました。

「リベンジ開始」です。

米中関係はどんどん悪化し、「米中軍事衝突」を懸念する
声まで聞こえてきました。

その時、「希望の同盟国日本」は何をやっていたのか?

そう、なんと3000人の訪中団を送り込み、中国との和解に
動いていたのです。

オバマは、わけがわからず、「裏切られた!!!」と思っ
たに違いありません。

その後、どうなっているか、皆さんなんとなく感じている
ことでしょう。

・「希望の同盟演説」後の「日米蜜月ムード」は冷めた

・アメリカは、中国バッシングを抑制した

これは、いずれも安倍内閣がフライングして中国と和解し、
アメリカに不信を呼び起こしたことが原因です。

さて、安倍談話をなんとか乗り切った総理。

アメリカはホッとしていることでしょう。

しかし、総理はまた、こんな心配発言をされています。



<反日的でないこと前提=中国の戦勝記念行事出席─安倍首


時事通信 8月14日(金)23時2分配信
*
*
 安倍晋三首相は14日夜のNHK番組で、中国政府が9月に北京
で開く抗日戦勝記念行事への出席について、「まだ決めてい
ない」とした上で、「この行事が反日的なものではなく、融
和的な行事になることが前提ではないか。そうした式典にな
ることを望んでいる」と述べた。

 習近平国家主席との首脳会談に関しては「今まで2回、会談
を行ったが、首脳間で理解は増したのではないか。3回、4回
と重ねていけるようにしたい」と語り、実現に改めて意欲を
示した。>



そんなもん、「意欲を示さないでください」ですね。

アメリカは今、韓国の朴さんに、「出るなよ!」と圧力をかけて
いる。

それなのに、「希望の同盟国」日本の総理が、ノコノコと中国に
でかけてどうするのですか?

しかも、「【抗日】戦勝記念行事」に。

(だいたい、「日本に勝った」と主張できるのは、蒋介石の国民党
である。)

ご本人は意識しておられないと思いますが、日本政府の行動は外国
から見るとこんな風に見えます。

ある男性(アメリカ君)に、「あなたが好きよ!幸せな家庭をつ
くりましょう。一緒ならできるわ!」といったある女性(日本子)。

彼女は、翌日別の男性(中国君)のところに行き、「あなたが好
きよ!仲良くしましょう!」といってデートに応じる。

こんななので、安倍総理の「希望の同盟演説」も「談話」も「口
先だけの詭弁だ」と思われて仕方ありません。

総理は、是非言行を一致させていただきたいと思います。

(とりあえず、中国に行くのはやめましょう。)





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