イラン vs サウジ断行は第三次世界大戦へ繋がるか★サウジの同盟国であるべき米国は、関与しないだろう。



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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成28年(2016)1月5日(火曜日)
         通算第4770号
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 イラン vs サウジ断行は第三次世界大戦へ繋がるか
  サウジに同調したのはバーレーンとスーダンだけだった
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 イランはサウジアラビアでシーア派指導者が処刑されたことに抗議し、在テヘランのサウジアラビア大使館を群衆が襲撃、放火した。
対抗してサウジアラビアは、2016年1月4日、在リヤドのイラン大使館に対して48時間以内に閉鎖し、退去せよとし、外交関係の断絶となる。サウジの措置に同調したのはバーレーンとスーダンだった。

もともと中東政治の基幹にあるのはスンニ派vsシーア派の対立であり、シリア内戦も、イスラエルvsパレスチナも、サウジとイランの代理戦争だった。
ISの跳梁跋扈にしても、アサド政権の防衛にしても、すべてはこの構造である。

 今後の展開はサウジとイランが戦争状態に陥った場合、どちらが優位に立てるかということだが、サウジの同盟国であるべき米国は、関与しないだろう。
米国はシェールガス生産でエネルギー戦略に余裕がうまれ、サウジを決定的な国益の対象とはみなくなった。
これはニクソン以来の路線変更なのである。

 サウジと運命共同体でもあるバーレーンは、現在もイエーメンのシーア派武装星陵への攻撃で共同歩調をとっているが、バーレーンにはイラン系移民がいまや多数派であり、これからもイランの第五列的な策謀や騒乱が引き起こされるだろう。
 バーレーンはスンニ派だが、流入した移民の多くはシーア派である。

両国の国力をみても、イランは若々しい国で人口はやがて八千万人に達する。
一方のサウジアラビアは自国民に倍する外国人労働者を含めて、二千万人強。軍事力もイランの方が上である。
サウジは米国がたよりにならないとわかるとロシアに仲介をもとめるシナリオも考えられる。

すでにプーチンの元へはサウジ副皇太子(国防大臣兼任)、バーレーンの皇太子らが、通っており、同時にイスラエルもモスクワ詣でを繰り返すようになった。
オバマは「世界の警察官をおりる」と言ったため、サウジの不安は、外交的にも露骨に表れてきたのだ。

 オバマの優柔不断にくわえての中東政策無策、イスラエルとの対立、そしてイランとの宥和という米国外交の流れをみていると、米国はサウジからイランへ軸足を移す可能性が、近未来のシナリオとして急浮上してきたのも無理はない。


さて中東の緊張は次に何をもたらすか。

第一に中東全体が戦域となれば原油価格は暴騰に転じる。せっかくイランが原油輸出を再開する段となって、サウジが減産に踏み切らず、今後も原油価格は低迷しつづけるというエコノミスト等の予測は根底的にひっくりかえる。

第二にシリア内戦は長期化し、ISが再び勢力を盛り返す可能性がある。ISに軍資金を提供してきたのはサウジ、UEA、バーレーン。そして隠密裡に兵站ルートを提供してきたのはトルコだった。
ISの弱体化は、かれらから見ればイランに裨益することとなる。

 第三はイランが支援するヒズボラが弱体化し、アサド政権は支援組織のうち、右腕のロシアはともかく、左腕的なイラン代理兵の弱体化を意味し、したがって先にも見たようにシリア内戦は長期化する。世界の不安化は止まらない。難民は増え続けEUの財政負担への悲鳴より、新移民らが引き起こす国内治安の悪化が考えられる。

第四は緊迫したトルコ vs ロシアの対決姿勢にも大きな変化が現れるだろう。ともにイランとは舞台裏で繋がっており、またサウジへの均衡外交維持という矛盾したスタンスにも微妙な変化が兆している。

第五には中東の混乱とイラン vs サウジの対立は中東政治からパレスチナ問題を矮小化させてしまうだろう。
したがってイスラエルが安全保障的にはもっとも裨益(ひえき)することになるだろう。
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