【韓国】責任転嫁の韓国政界 被害者1500人超の殺人加湿器…「お茶の間のセウォル号事件」を引き起こした真犯人は誰なのか?

加湿器用の殺菌剤で多数の死傷が出、メーカーの元社長らが逮捕された事件の波紋が韓国で広がり続けている。政府の認定でも 被害者は死者95人を含む220人以上。被害者団体は1500人を超えるとしている。韓国メディアは、対応が後手後手に回った 旅客船沈没事故になぞらえ、「お茶の間のセウォル号事件だ」と政府と企業への批判を強めている。製品の販売から15年、製品回収から 5年もたってようやく本格捜査に乗り出した背景には何があるのか-。

 
 ・韓国独自の画期的商品が裏目に…

 そもそも、日本では、加湿器に殺菌剤を使うこと自体、なじみがない。

 加湿器は、水の粒子を空気中に吹き出すために、洗浄を怠れば、細菌やウイルスを空気中にまき散らすことになってしなう。

 そこで、1994年に韓国企業が開発したのが、加湿器の水に混ぜて使う殺菌剤だ。日本に比べ、冬場乾燥し、国民の4割近くが 加湿器を使うという韓国にあって、洗浄や水替えに気を使わずに済む画期的な製品だった。

 2011年の国の調査で、韓国民の約18%が「加湿器の殺菌剤を使ったことがある」と答えるヒット商品となった。ただ、韓国以外の国には広まらず、国際基準の及ばない「ガラパゴス化」が発覚の遅れを生んだともいえた。

 特に新生児は、適度な湿度を保つ必要があるとされるため、妊産婦が殺菌剤入り加湿器を使うことが多く、被害者の多くを、発症当時の 妊産婦や乳児が占めることになる。

 生まれてくる赤ちゃんをウイルスから守ろうとした親心が最悪の結果につながり、「私が子供を少しずつ殺していた」と罪の意識にさいなまれる 親もいる。このことが今回の事件の最も残酷な側面の一つだ。

 被害者を支援する環境保健市民センター所長は、韓国紙、ハンギョレの取材に、「1994年に開発された時点で、安全性の検討を まともとにすべきだった」と指摘している。

 しかし、その後も何度もチェックすべき機会があったにもかかわらず、ことごとく見逃されていく。



  ・検査の「死角」と疾患の「盲点」

 最たるものが、今回最も多くの被害者を出した英日用品大手の韓国法人「オキシー・レキット・ベンキーザー」が、問題の化学物質「PHMG」を 使い始めた2001年の時点だ。

 PHMGは、浄化槽の洗浄剤の主原料で、吸い込むと肺胞が硬化する「綿維化」を引き起こし、死に至ることもある。

 だが、韓国環境省は、吸引などを想定した審査は行わずに1997年に「有害物質ではない」と官報に告示。2001年の発売時もオキシー社は、 毒性テストを行わず、当局側が検査することもなかった。

 しかも本来、工業用の洗浄剤として認可されたはずの成分について、企業側が加湿器用殺菌剤に用途を変更していた。

 口にする食品や、肌に塗る化粧品は、厳しく成分が審査されるが、肺に吸い込むと毒性が増すにもかかわらず、加湿器殺菌剤という カテゴリーの曖昧な製品は、いわば検査の「死角」となった。

 朝鮮日報によると、ソウル中央地検特別捜査班は、オクシー社が新製品の開発時に、人体への害について協議した会議録や 資料を押収。同社の消費者窓口には、発売後、「呼吸困難」などを訴える消費者の声が寄せられ、担当者は「上部に報告したが、 特に措置を講じることはなかった」との証言もあるという。

06年以降になると、原因不明の肺疾患で病院に運び込まれる患者が急増する。医師や国の疾病管理本部が原因究明に乗り出すが、 当初、注目されたのは、ウイルス性肺炎だった。

 インフルエンザなどが流行した後の春先に発症が相次いだからだ。だが、原因が判明した現在では、ウイルス感染を嫌って加湿器の殺菌剤を 多用するケースが増えたことが背景にあるとみられている。

 疾病管理本部は、主に感染症に対処してきたため、韓国メディアによると、化学物質を扱う部署さえないという。これが「盲点」となって、 原因が突き止められるまで、さらに5年の歳月が経過した。



・教授が改竄、会社を解散…あの手この手の隠蔽工作

 11年には妊婦らの死亡が立て続けに起き、保健福祉省は11月に加湿器の殺菌剤が原因だとして、メーカーに該当6種の回収を命じた。

 だが、事ここに至っても、オキシー社は「黄砂と花粉が原因だ」との主張を曲げなかった。

 同社は、この分野の権威とされるソウル大獣医学部教授(57)に自社製品の分析を依頼する。この教授は、オキシー側に有利になるよう実験結果を改竄(かいざん)したとして、今月逮捕された。同社は研究費名目に2億5千万ウォン(約2300万円)を同大に拠出し、 教授個人にも数千万ウォンを支払っていた。

 オキシー社は、ホームページに寄せられた、被害を訴える書き込みを削除するという隠蔽工作も行ったとされる。

 甚だしきは、この時期に「株式会社」を解散し、所在地や構成員もそのままに、同名の「有限会社」に看板をすげ替えていた。刑事訴訟では、 被告法人が存続していなければ、公訴が棄却されるため、当局は、刑事責任を逃れるための偽装工作だとみている。

 だが、この時期に下された処分は、「人体に安全だ」との虚偽広告をしたとして、公正取引委員会がオキシー社や販売会社に課徴金を科すにとどまった。



  ・「セウォル号」後の再演? 責任転嫁の韓国政界

 13年に野党が被害者救済法案を提出した際は、政府と与党は「因果関係が明確でない」として法案処理に反対した。

 今月に入って、オキシー社の元社長(68)らが業務上過失致死容疑などで逮捕され、捜査が大きく動き出すのは、朴槿恵(パク・クネ)大統領が4月末の閣議で、「徹底調査」と「被害者らの救済」を指示した後のことだ。

 中央日報はコラムで、「304人が犠牲になったセウォル号は、2時間半で沈没し、『リビングのセウォル号』は、(加湿器用殺菌剤の開発から) 22年かけて徐々に沈んだ」と指摘した。

 野党が「朴大統領と与党は心から謝罪すべきだ」と追及すると、与党側は「野党政権時代に問題の製品が販売され、被害が発生したが、 原因究明に失敗した」とし、回収と調査が行われたのは、与党の李明博(イ・ミョバク)政権に入ってからだと反論。責任のなすり付け合いを繰り広げている。

 セウォル号事故後には、与野党が非難の応酬を重ね、国会が空転。事故に関する特別法一つ通すのにも多大な時間を浪費した。

 今回も、オキシー社製品の不買運動をはじめ、加湿器や除菌剤全般に対する拒否感の広がりといった消費者の過剰反応ばかりが目につく。

 「お茶の間のセウォル号」とやみくもに騒ぐ前に、被害者救済と再発防止のためには、セウォル号事故後の混乱の二の舞だけは避けてくれることを願う。

産経ニュース 2016.5.22 08:00
http://www.sankei.com/premium/news/160522/prm1605220028-n1.html


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