【通貨スワップ】慰安婦像新設を許した韓国と通貨スワップ協定ができない理由「国家間の合意を破るのなら スワップなどできない」



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ダイヤモンド・オンライン 1/12(木) 6:00配信 (嘉悦大学教授 高橋洋一)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170112-00113888-diamond-bus_all

安倍晋三政権が毅然とした外交姿勢を示した。釜山の日本総領事館前に昨年末、“慰安婦像問題”の象徴とされる慰安婦少女像が新設された。これは、2015年12月の「日韓合意」に反する行為だ。詳しくは後述するが、そもそも「ウィーン条約」にも反する行為のため、駐韓日本大使を一時帰国させ、日韓通貨交換(スワップ)協定の協議再開の中断などを打ち出した。

慰安婦問題に関する日韓合意は、「慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されたことを確認する」という日本政府と韓国政府との合意である。日本政府の予算10億円で元慰安婦を支援するための財団を設立するとともに、ソウルの日本大使館前の慰安婦像について、韓国政府は「適切に解決できるよう努力する」と発表している。

日本側は10億円の拠出は済んでいるので、韓国側によるソウルの慰安婦像の撤去を待っていたところ、新たに釜山の日本総領事館前に新設されるという事態になって、日本側が反発したのだ。

筆者の役人経験からいっても、非は韓国側にある。実は、2015年末の日韓合意に関わった韓国人の多くは、今回の韓国の対応はまずいと顔をしかめている。

ただし、日本国内新聞の論調は、かなり異なっている。各新聞の社説の見出しは次の通りだ。

◎朝日新聞 韓国との外交 性急な対抗より熟考を
◎読売新聞 少女像釜山設置 日韓合意を損なう不法行為だ 
◎毎日新聞 釜山の少女像 合意の崩壊を危惧する
◎日経新聞 日韓の合意をほごにするな
◎産経新聞 釜山の慰安婦像 反日では墓穴掘るだけだ

● 朝日新聞だけが“異質の論調” そもそもウィーン条約違反が問題

これらを読み比べると、朝日新聞だけが異質であり、日本にも非があるといわんばかりで、韓国を批判する論調が弱い。

産経新聞が韓国に厳しい論調であるのは自社のソウル支社長が韓国当局による不当拘束を受けたので当然であろう。

読売新聞、毎日新聞、日経新聞までも10億円の拠出をもとに元慰安婦の7割超が支払いを受けていると書いている中、朝日新聞だけはその事実を書かない社説を出している。慰安婦問題について、朝日新聞は大誤報を行い、日韓関係の悪化、両国民の理解不足を招いた責任はどうなっているのだろうか。

もっとも、各紙ともにウィーン条約には言及している。

ウィーン条約第22条には「接受国は、侵入又は損壊に対し使節団の公館を保護するため及び公館の安寧の妨害又は公館の威厳の侵害を防止するため適当なすべての措置を執る特別の責務を有する」とある。

要するに、各国政府は外国公館の安寧を妨害したり、品位を損なったりすることを防止するため、適切なあらゆる措置を取る特別な義務を持つ。

ソウルの日本大使館前の慰安婦像については、この条項違反の恐れがあると日本政府は主張している。韓国政府の外交部当局者も、日本の主張が国際的に通用する可能性が高いことを認めている。そうであるからこそ、2015年末の日韓合意が成立したわけだ。

安倍首相が、「10億円を拠出したので、後は韓国の誠意を待っている」との発言が、韓国国内で反発していることを受け、日本のテレビの左派コメンテーターは、韓国国民の感情を煽るような発言を安倍首相はするべきではないという。

しかし、この左派コメンテーターは、そもそも少女像の設置がウィーン条約違反であることをいわないのはフェアでない。仮に10億円を日本に返すからといって、少女像が大使館前に存在していいはずない。

● 韓国側は日韓合意を 履行する義務がある

実際、韓国政府からは、まともな回答が返ってこない。それもそのはずで、1年前に「慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されたことを確認する」と日韓政府間で合意されている以上、合意を履行する義務があり、まだ韓国側が履行していないからだ。

そして、国家間の合意が履行できていない現在、日韓通貨スワップ協定再開の協議中断も、韓国側に手痛いだろう。

通貨スワップ協定は2国間や多国間で、自国通貨と外貨を交換する契約だ。日韓の通貨スワップ協定によって、韓国はウォンを日本に渡し米ドルと日本円を受け取れる。財務省と韓国銀行間のものと日銀と韓国銀行間のものがある。

当初は、チェンマイ・イニシアティブという、1997~98年のアジア通貨危機後の東アジアにおける金融協力の必要性に基づくものだった。2000年5月の第2回ASEAN+3財務大臣会議(タイ・チェンマイで開催)にて、外貨準備を使って短期的な外貨資金の融通を行う2国間の通貨スワップに合意があり、それに基づき、財務省と韓国銀行間で2001年7月に通貨スワップ協定が締結された。2015年2月に、反日姿勢を強めた朴政権側から「協定延長は不要」との声が出て、打ち切られた。

なお、日銀と韓国銀行との間でも2005年5月に通貨スワップ協定が締結された。これはリーマンショック以降、時限的に拡充されたが、2013年7月に協定は既に満期終了されていた。

財務省でも日銀でも、韓国銀行との間での通貨スワップ協定はどのような効果があるだろうか。為替は平常時であれば、両国間の金融政策の差でだいたい決まるが、通貨危機時にはそうした理論は働かずに、一方的に自国通貨が安くなる。その場合、金融引き締めを行っても自国経済を痛めるだけで、為替の安定にはあまり効果がない。

その際、直接的な自国通貨買い介入が有効である。ただし、自国通貨買いをするにしても、外貨準備が大きくないとそれもできなくなってしまう。その意味で、通貨危機の時には外貨準備がものを言う。

通貨スワップは、緊急時には外貨が手に入ることにより、外貨準備の増額と同じ効果がある。このため、日韓のどちらにメリットが大きいかといえば、通貨危機に陥る可能性の高い韓国のほうにメリットがあった。


● 国家間の合意を破るのなら 通貨スワップなどできない

韓国を取り巻く海外環境は厳しい。韓国の貿易相手国としては、中国、アメリカ、日本が大きい。それぞれの国への輸出シェアは、25%、12%、6%程度である。

中国向け輸出は、中国経済の低調からさえない。その上、米韓で戦域高高度防衛ミサイル(THAAD)配備に合意したことから、韓国と中国の間の経済取引は冷え込んでいる。アメリカ向けはまだいいが、トランプ政権になると、どうなるかわからない。朴政権がレームダックになっており、トランプ政権への対応はできていない状況だ。日本向け輸出も芳しくない。

外需依存の高い韓国経済はかなり苦しい。筆者は、経済状況で一つの経済指標だけを上げるなら失業率といっている。2016年の失業率は3.7%だったが、2017年には3.9%になると予想されている。これは、アジア通貨危機の打撃が大きかった2001年の4.0%にも達するような危機的な状況だ。

筆者は、最悪の場合、1997年に起こったアジア通貨危機時に韓国が見舞われたような通貨危機の再来の可能性すらあると思っている。この経済危機は、「朝鮮戦争以来、最大の国難」と韓国ではいわれている。

そこで、今回の日韓通貨スワップ協定の協議再開の中断である。もし韓国が通貨危機になれば、通貨スワップ協定がないことが大きな痛手になるはずだ。

2015年2月の日韓通貨スワップ協定打ち切りは、表向き経済危機がなくなったということが理由であるが、その後、韓国側から日本に頼みに来て、協議再開となった。それが、日本側から協議再開の中断となったので、韓国側も焦るだろう。今では韓国経済が低迷し、韓国が通貨危機に陥っても不思議ではないからだ。

実は、日韓が協議再開を中断したこと自体、為替投機筋から見れば絶好の機会であるので、通貨アタックがないとも限らない。そうした経済動乱が生じる隙を見せれば、北朝鮮も揺さぶりをかけてくるかもしれず、朝鮮半島のリスクが高まってくる可能性もある。韓国は、こうした国際情勢を正しく認識し、これまでのような甘えの反日姿勢を反省すべきだ。

何しろ、国家間の合意を破ったのだから、相互貸借と事実上同じ通貨スワップなど協議できるはずがない。韓国は、そうした国家の信用を問われているのだ。




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